2024年12月
今年も比較的暖かな冬空の中、12月を迎えました。暦の月と気温のイメージが少しずつずれてきているような、クリニックの庭にもその影響が見られるような気がしています。
写真左の赤い花は、クリニック南側に咲くバラ科の木瓜(ボケ)です。今年は当欄で3月に白い木瓜をご紹介しましたが、例年その少し前に咲くのに、かなり早い時期のお目見えとなりました。小さな庭の中にも、日本の四季の変化を感じています。
一方、写真右の黄色い花は、この時期の定番、クリニック玄関横に咲くキク科の石蕗(ツワブキ)です。開院時より毎年変わらず時を告げていますが、種子が舞うのか、だんだん増えてかわいい感じになっています。ご来院の際には是非ご覧いただければと思います。
今年最後のクリニック便りは、師走の定番と季節外れ、漢字クイズに出そうな2種の花をお届けしました。11年目を迎えた当院は、地元の皆さまに永続的に医療をご提供できるよう、法人化させていただきましたことをご報告して、本年の締めとさせていただきます。皆さま、良いお年をお迎えください。
2024年11月
たいへん長い夏でしたが、10月末に漸く秋らしくなって11月を迎えました。クリニックの庭は花の少ない時期になりました。
クリニック北側にはキク科のビデンスが咲いています(写真左)。中心の花弁が鮮やかなレモン色で、花びらの外縁は白く、そのグラデーションがとても美しいです。秋から冬にかけて長く咲く、コスモスを小さくしたような花なので、ウインターコスモスの名もあります。ビデンスの名前は、ラテン語の「bi=2」と「dens=歯」の合成語で、種子に歯のような2本のトゲがあることに由来するようです。
写真右は、同じくクリニック北側に咲くシソ科のホットリップスです。気温が高いと赤の単色 気温が下がると白い部分が増えて紅白のツートンカラーになります。特徴的な唇のような形の花は、唇形花(しんけいか)と呼ばれ、葉は甘い香りを持ちハーブとしても知られています。サルビアの仲間で、「Salvia」はラテン語の「Salvere=治癒する」に由来するようです。
今月はその名の起源に医学用語が関係する2種の花をご紹介しました。先日のドラフト会議で大成功を収めたとされる新生井上ドラゴンズに早くも期待感がいっぱいで、今年の日本シリーズが終わる前から来季が楽しみです。
2024年10月
暑くて長い夏が終わりきらず、9月末も連日30℃超えの夏日続きで10月を迎えました。クリニックの庭にも少なからずその影響を感じています。
写真左は、クリニック南側に咲く彼岸花です。時期が来ると突然に真っ直ぐ茎が伸び、その先端に放射状に花弁をひろげる真っ赤な花姿はとても幻想的です。例年9月にご紹介していますが、1か月前にはその姿はありませんでした。さすがにピークは過ぎましたが、今年は各地で彼岸花の開花の遅れが話題になっていました。
写真右は、同じく南側の小紫式部です。初夏に花を咲かせ、この時期に緑色の実が光沢のある紫色に変化します。樹木の実としては珍しい色で、その美しさから庭木として人気があります。こちらも若干遅れがあり、美しさのピークは少し先になりそうです。
今月は時期がやや遅れ気味の秋の美しい植物をご紹介しました。気がつけば、ドラゴンズは今年も最下位で最終盤を迎え、監督の交代も決まり寂しい限りです。一方、海の向こうでは、大谷選手が記録づくめで皆に感動を与え、さすがの一言です。また、応援する藤井七冠は、一冠を失ってからは圧巻の強さで連続防衛と、こちらもさすがの一言。そして何より新首相に、さすがと言わせていただけたらと願うばかりです。
2024年9月
8月は息苦しいほどの暑い日が続き、月末からはのろのろ台風10号が長く大雨をもたらす中、9月を迎えました。この自然の変化はクリニックの庭にも少なからず影響し、例年今頃に咲く花の姿が見られない状況です。
写真左は、先月もご紹介したクリニック北側の木槿(ムクゲ)です。あの暑さの中もこの大雨の中も次から次へと咲き続けています。お隣韓国では国花、欧米でも夏咲きの花木として親しまれる木槿ですが、秋に向けてもうしばらく楽しませてくれそうです。
写真右は、クリニック南側の花虎の尾(ハナトラノオ)です。きれいな花が穂状に伸びて咲き、その花穂(かすい)を虎の尾に見立てて名の由来があります。花は四方に規則正しく並んで下から順に咲き、花期が長いのが特徴です。
今月は異常気象の中、クリニックに長く咲く2種のピンクの花をご紹介しました。開院して11年目の当院ですが、営利を目的とせず、永続的に医業が行えるよう、先月8月に法人化いたしました。「医療法人NIC にしのほう伊藤内科クリニック」として、地域医療に貢献できるよう、一層の努力を重ねていきたいと思います。
2024年8月
先月から聞かれる朝の蝉の声に変化を感じ、各地で40℃超が観測される猛暑の中、8月を迎えました。クリニックの庭には暑さに負けない花々が咲いています。
写真左のピンクの花は、クリニック北側で強い日差しに映える木槿(ムクゲ)です。美しい花姿が詩に重用され、旧暦の和歌の世界では秋の季語ですが、現代では夏の代表的な茶花です。ムクゲは、木槿の音読み「もくきん」から転じたものと言われます。
写真右の黄色い花は、クリニック南側でこちらも日差しに映える女郎花(オミナエシ)です。印象的な小さい花がまとまって咲いて美しい円錐を形作ります。先月ご紹介した桔梗と並んで、奈良時代に選定された秋の七草の一つで、「おみな」は女性、「えし」は古語の「へし(圧し)」で、美女を圧倒する美しさという意味があるようです。
今月のクリニックの庭からは、歴史的に秋の季語となっている2種の美しい花をご紹介しました。先月末から始まったパリオリンピックでは、歴史に名を刻むメダル獲得もあり、多くの感動と勇気をもらっています。
2024年7月
記録的に遅い梅雨入りの後の雨続きの中、7月を迎えました。まだ夏の入口ですが、気温も湿度も高く体調管理が難しい毎日です。
そんな厳しい環境の中でもクリニックの庭にはいくつもの花が咲いています。写真左の青紫の星形の花は、クリニック北側の桔梗(キキョウ)です。真っ直ぐ伸びた茎に、咲く直前まで紙風船の様に膨らんだ蕾が特徴的です。秋の七草に数えられるように、暑い夏を越えて咲き続けますが、この時期が一番勢いもあって元気に感じます。
写真右の良い香りを放つ純白の花は、クリニック北側の梔子(クチナシ)です。果実が熟しても割れないため、口無し(クチナシ)と呼ばれたのが和名の由来のようです。花言葉には幸せを呼びこむ言葉が多く、花束やブーケによく使われます。
過ごしづらい梅雨時に少しでも気分が晴れるようクリニックの庭の花たちをご紹介しました。ついにドラゴンズは最下位へ落ち、藤井七冠もタイトルを一つ落としましたが、それでも両者の活躍に元気をもらっています。今月はいよいよオリンピックも始まります。男女とも好調なバレーボールはとても楽しみです。
2024年6月
1年前の記憶が定かでなく当欄を振り返ると、昨年は梅雨入り後に6月を迎えていて、一昨年は5月に真夏日を経験していますので、年によって随分異なることに気づかされます。
クリニックの庭の様子は、例年と変わらず5月終わりからサツキが満開となり、東側道路に面して一直線にピンクが鮮やかです(写真左)。ツツジ科の一種ですが、いわゆるツツジよりやや花は小さく、旧暦の皐月に咲くことから正しくはサツキツヅジと呼ばれます。
クリニック南側には、風に揺れて蝶が舞うように、別のピンクの花が咲いています(写真右)。白蝶草の和名を持つガウラで、色は白が多いようですが、うちのは真っピンクで存在感があります。ギリシャ語のgauros(立派な,華麗な)が語源のようです。
今月は、初夏のクリニックの庭から2種の鮮やかなピンクの花をご紹介しました。当欄で応援中のドラゴンズは順位を落として5位で6月を迎えましたが、今年の戦力ならまだまだ期待できるはずです。一方、藤井八冠は叡王戦を1勝2敗のカド番で迎えた大ピンチの第4局を勝利し、さすがの勝負強さを見せてくれました。きっと次局を勝ち切って、タイトルを防衛してくれることでしょう。
2024年5月
夏のような陽気の中、5月を迎えました。先月の当欄の更新直後に、クリニックの庭では花桃、芝桜などが一気に咲き溢れ、春満開状態となりました。現在は入れ替わりに晩春から初夏の花が咲き始めています。
写真左は、クリニック南側、黄色い大輪の牡丹(ボタン)です。百花の王と称えられ、立てば芍薬、座れば牡丹と呼ばれるが如く、美しさの象徴とも言える植物です。同じくボタン科の芍薬との違いは、牡丹の葉にはツヤがなく切れ込みがあります。
写真右は、クリニック北側、白い小さな鈴蘭(スズラン)です。葉の下に隠れるように鈴のような形の花が数輪ずつ咲きます。フランスでは、5月1日に大切な人へ鈴蘭を贈る習慣があり、贈られた人には幸福が訪れるようです。
今月のクリニックの庭からは、大小対照的な美しさを放つ晩春の花をご紹介しました。4月は、当欄注目の藤井八冠にタイトル戦で久しぶりの土がつき、ドラゴンズが連勝で一時は単独首位に立ちました。5月はどのような活躍を見せてくれるのか楽しみです。
2024年4月
真冬としては暖かな2月の後に、意外に寒かった3月を経て、予定遅れの桜開花宣言があって、ようやく本当に春らしい陽気となって4月を迎えました。
クリニックの庭も花が遅れがちな印象で、南側に沈丁花(ジンチョウゲ,チンチョウゲ)が咲き始めました(写真左)。うすピンクの花から甘い香りが漂い、春の訪れを告げています。夏の梔子(クチナシ)、秋の金木犀(キンモクセイ)とともに三大香木に数えられます。
今月のクリニックの庭からは春のピンクの花をご紹介しました。いよいよプロ野球も開幕し、オープン戦首位のドラゴンズは、白星なしの最下位スタートとなりました。それでも今年こそはと期待しています。
2024年3月
早朝はまだ冷えますが、3月に入り確実に日の出時刻が早まっています。平成26年3月開院の当院にとって毎年この時期には思い入れがありますが、今年は節目の10周年でその思いは特別です。なんとか無事にここまでこられましたのも、多くの皆さまの支えがあってのことと感謝しています。
さて、今月のクリニックの庭からは、南側に咲くバラ科の木瓜(ボケ)のご紹介です(写真左)。品のある白い花が春の訪れを告げています。つばみがたくさんついていますので、この後の咲き誇る光景に期待です。
北側には、キンポウゲ科の青紫色のアネモネが咲き始めました(写真右)。ここにはいくつかの球根を植えてありますので、この後、色とりどりの花が咲く予定です。
今月のクリニックの庭からは春を告げる花をお伝えしました。開院した10年前に、少しでも皆さまの心の癒しになればとクリニックの庭の管理を始め、毎月の本稿の更新を目標にやってきましたが、なんとか10年間、一度も休むことなく継続できました。11年目も変わらず続けていきたいと思います。いつも閲覧いただきありがとうございます。
2024年2月
元日に本稿をupして数時間後でしたが、当地でも結構な揺れを感じました。あれかから早1カ月が経ち、雪の日もありましたが比較的暖かで2月を迎えました。
クリニックの庭からはこの時期の定番、北側に咲くロウバイ科の蝋梅です(写真左)。黄色い蝋細工のような光沢のある梅に似た花が今すでに満開に近い状態です。当欄で3月にご紹介することの多い光景で、うちの蝋梅を見る限りやっぱり暖冬なのだと思います。
写真右は、クリニック南側のこちらも定番、ヒガンバナ科の水仙です。6枚の花被片と呼ばれる外側の白い花びらと、中心に筒状の副花冠と呼ばれる黄色い花びらのコントラストが美しく、花首をかしげて咲く姿にとても品を感じます。
今年も藤井八冠は品ある所作からの鋭い手で、圧勝の3連勝と王将戦3連覇に早くも王手の状況です。さすがの一言。一方、低迷続きのドラゴンズは、新メンバーも加わりいよいよキャンプイン。毎年のことですが、今年こそ期待しています。
2024年1月
新年おめでとうございます。暖かなお正月で令和6年が始まりました。当院は3月に10周年を迎えますが、今年も変わらず、毎月クリニックの近況を、庭の植物に院長の所感を添えてお届けしたいと思います。
新年最初は恒例の正月の飾り物、クリニック北側の千両(センリョウ)のご紹介から(写真左)。緑の葉の上に、真っ赤な実がとても綺麗で、花言葉も「冨」「利益」とまさに縁起物です
写真右は、先月に引き続きクリニック玄関横の石蕗(ツワブキ)です。先月の石蕗に遅れて咲いた八重咲きの品種で、新年に相応しくより豪華で品を感じます。花言葉は「謙虚」ですが、風水では、「繁栄」を高める縁起物のようです。
今年は辰年、立浪竜の3年目の正直で真のドランゴンズイヤーとなることを祈っています。クリニックにとっては節目の年となりますが、医師として、チームとして漫然とした医療の提供とならないよう、初診を忘れず日々前向きに精進したいと思います。